Sarah's Key

book

by Tatiana De Rosnay (2007)

 1942年7月16日未明。ナチス・ドイツ占領下のパリで、ユダヤ人の一斉検挙が始まった。

 事件から53年後の1995年、当時のシラク大統領が、この事件はフランス政府が行ったことであると公式に認めたそうです。

 "Sarah's Key" は、当時10歳だった少女の視点と、フランス在住の女性ジャーナリストによる現代の視点、その2つの視点を絡めながらこの事件を描いています。

 第二次世界大戦中のホロコーストを描いた書籍はたくさんあるし、それなりに読んでいるけれど、フランスでのホロコーストを描いた物語を読んだのはこれが初めて。
 また物語の中で、当時を追うだけでなく、現代の視点も織り交ぜた点が秀逸。

 作者はフランスで雑誌記者をしていた(いる?)のだそうで、ジャーナリスティックな記述が多数みられるのも納得でした。

 語数は約82,000語(by Scholastic)。YLは…うーん、7くらいかな。2007年にフランスで出版され、2010年にフランスで映画化されました。映画の日本公開は今年(2011年)の秋から冬にかけてのようです。

 映画、原作本ともに邦題は『サラの鍵』。

 ここ2ヶ月ほど、洋書読みは超低空飛行だったのですが、この本は読み始めて3日ほどで一気に読んでしまいました(明るい話ではないので一気に読まないと辛いともいう)。

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The Borrowers

book Mary Norton (著)

 編み針やまち針、安全ピンなど、使おうと思うとなぜか見つからない。それはね、家の中のどこか、ひとめにつかないところにね、こびとさんが暮らしていてね、そういう小さなものを借りていってしまうんだよ。

 古いお屋敷に住む少年とこびとの少女のお話。

 西洋のこびとさんの多くはふしぎな力をもっていますが、メアリー・ノートンが描くこのこびとさんにはふしぎな力はありません。人間に自分たちの存在を知られないようにひっそりと暮らしているのです。

 1952年に発表というから50年以上前に書かれたお話。なかなかお話が動き出さないのでじれったくなりますが、まぁそこはささっととばしてとばして。

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The Story of Ferdinand

book Munro Leaf (著), Robert Lawson (イラスト)

 Ferdinand という雄牛のお話。

 ああ、なるほど、スペインだからこういう展開なのね~。

 よかったです。とぼけたおかしみが笑えた~。でね、笑っておしまい、じゃないところが、いいんだね。

 モノクロの絵がかっこいいの。強い太陽光線とくっきりとした影。パワーの伝わる絵です。

 絵本から伝わる時間の流れ方が心地よい一冊でした。

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River Boy

book  by Tim Bowler

 心臓発作を起こして病院にかつぎこまれた Granpa は、周囲の反対をものともせず、たった3日で無理やり退院してしまった。この夏は、かねてからの予定どおり、Granpa の生まれ故郷に家族そろって出かけるのだ、と、頑として言い張って。
 Granpa に押し切られる形で、Jess と Granpa、MumとDad の4人は谷間のコテージに向かう。そこは人家とてない場所だが、コテージの目の前には清冽な川が流れていた。泳ぐことが大好きな Jess がその川で出会ったのは・・・。

 自然に囲まれた環境で、15歳の少女 Jess と Granpa の絆を描いた物語。

 川は水源から海に向かって常に流れ続ける。いのちも同じ。

 そういうお話。

 この本は、日本語版を図書館で借りてきて読み出したんだけど、1章読んだところで、「これは原文で読むほうが良さそう」と感じたので、日本語版を返却して、原書で読みました。
 五感で感じる文章なの。勢いよく流れる水の圧力、ふりそそぐ日の光のあたたかさ、夜も眠れないほどに響いてくる小川のせせらぎの音。

 深閑としていて幻想的で、それでいて、凛としている。

 そんな1冊でした。

 より安価なマス・マーケット版もあるのだけれど、わたしは大きい版のほうがすきなのでペーパーバック版(というのか?)にリンクしています。

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How I Learned Geography

book by Uri Shulevitz

 Dawn や Snow でおなじみの Uri Shulevitz の2008年に出版された絵本です。いつだったか、オフ会でグルメさんが紹介をされていて知りました。

 内容は、タイトルどおりです。でもね、お勉強のしかたの話じゃないんです。

 Uri Shulevitz の子ども時代を描いた自伝的な絵本。これには心をうたれました。あの状況でこういう行動をするお父さんも素晴らしい(といっていいのか複雑ではあるが)。それに対する少年(Uri Shulevitz本人)の興味のもちかたも素晴らしい。

 食うや食わずの生活していても、心は乾いてしまっていないのです。

 そこにね、ぐっときました。

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"Cart and Cwidder" by Diana Wynne Jones

book

 The Dalemark Quartet シリーズ4部作の1冊めです。読むのは3度め。
 The Dalemark という架空の国を舞台にした物語で、時代は中世風。

 The Dalemark という国はいまは各地の諸侯が群雄割拠している状態。北の国は芸術が盛んで自由な雰囲気らしいが、南の国はほぼ鎖国状態で庶民が自由に旅をすることも禁じられている。国民の間には支配者層に抵抗する動きもあるが、それに対する弾圧も厳しい。

 そんな南の国を馬車(cart)で旅してまわる旅芸人の一家の物語。主人公は11歳の少年、Moril。一家がKialan という少年といっしょに旅をするようになって以来、それまでの生活が一変する。

 ファンタジーなのだけれど、魔法な要素がでてくるのはほんの少しだけ。少年が自立してゆく過程を描いた成長物語でもあり、庶民の自由を束縛する支配者層へのレジスタンスも重要なテーマのひとつ。芸術のもつ力とか、想像する力とか、自分の生き方を自分で決めてゆく過程がていねいに描かれている。

 状況は重いというか暗いというかしんどいんだけれど、そんな状況でもキャラクタたちが明るい。悩んだり泣いたり憤ったりもするけど、それらの反応もエネルギーがあるからできることなんだよね。状況を受け止め、跳ね返そうとする力。急流に押し流されるように状況が流転する中を、流れにただ流されるのではなく、流れの中でも自分の生き方を探そうとする。困難な状況の中でも自分の足で歩き、ジョークをとばしつつ前を向いて笑顔でがんばるキャラたちの様子に、読んでいる自分も元気をもらっている。

 信頼できる相手がいるって幸せなことだな、って読んでて思った。友人でも家族でも動物でも。

 cart and wagon ってことばが出てきた。cart と wagon ってなにが違うんだろー? イメージ検索してみた。うーん、わかるようなわからんような。ま、いいか。

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読書103-104

book 101. 時の町の伝説  ダイアナ・ウィン・ジョーンズ (著), 佐竹 美保 (イラスト), 田中 薫子 (翻訳) (2004)  A Tale of Time City (1987)

 お気に入りの作家さん、ダイアナ・ウィン・ジョーンズです。

 時間を行き来するお話です。

 面白いには面白いんだけど、情景が浮かべられなくて、そこがちょっと残念でした。

book 102.Silver on the Tree  (The Dark Is Rising Sequence)  Susan Cooper (著) (1977)

 The Dark Is Rising シリーズの最終巻です。今回は英語で読みました。突然、人が現れたり、時空が変わったりするパターンにも慣れてきたし、日本語で読むより原文のほうがシンプルでわかりやすいことも多いから。(日本語のほうがうんと早く読めるので、時間の節約にはなるのだけど)

 第4巻に引き続き、舞台はウェールズです。季節は夏。

 舞台がいいと楽しいなぁ。山があり、丘があって、せせらぎがあり、海がある。動物たちがいて、木々があって、花が風に揺れている。そういう場所を主人公たちが走り回ったり、話をしたりしている。

 どうやらわたしはそういうお話が好きらしいです。

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読書97-102

 さあ返さなくちゃ! ということで、図書館の本をまとめ読み(爆)。  

book 97.Nate the Great Goes Down in the Dumps (1989) Marjorie Weinman Sharmat (著), Marc Simont (イラスト)

 今回の Nate くんの探し物は、Rosamond の money Box。さて、どこにあるのやら…。

book 98.Magic Tree House #24 Earthquake in the Early Morning (2001)  Mary Pope Osborne (著), Sal Murdocca (イラスト)

 Jack と Annie 今回は1906年のサンフランシスコに行きます。  地震とそのあとであちこちで起こった火事の様子。。。

 単なる歴史のひとコマと捉えればなんてことのない1冊ですが、記憶がよみがえってしまって、そう簡単にはすまされなかった。そうか、サンフランシスコのときも早朝だったのね……。

book 99.Sylvester and the Magic Pebble (1969)  William Steig (著, イラスト)

 ある日、散歩のとちゅうでSylvester はきれいな赤い小石を見つけます。その小石を手にもって、お願いごとをとなえると、あらふしぎ、お願いごとがかなってしまうのです。ところが家路につく途中で、この赤い小石のためにとんでもない事態がおこってしまいます。

 ほのぼのとしたお話です。赤くてきれいな小石、わたしも見つけられるかな?

book 100.Henry and Mudge and the Tumbling Trip (2005)  Cynthia Rylant (著),Carolyn Bracken (イラスト)

 Henry 一家は西部に出かけます。

 そうか、Henry たちにとってはこんなものが楽しいおもちゃになるのね。

book 101.The Zack Files #15 Hang a Left at Venus (1999)

 今回のZack が出会ったのは、宇宙人!?

 宇宙人はいるのかいないのか、これはUFOなのかそうじゃないのか。

 そんなやりとりが何度もでてきます。その会話が可笑しい。。。

book 102.The Gardener (1997)  Sarah Stewart (著), David Small (イラスト)

 1935年。Sarah は町にすむおじさんのところへ行くことになりました。おばあちゃんやおとうさんにあてたハガキで Sarah の暮らしがつづられます。

 読み終わったあとで、表見返しのイラストを見ると、またちがった感慨が押し寄せてきました。

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洋書もたまには読んでいます。

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20.Pinky and Rex James Howe (著), Melissa Sweet (イラスト)

21.Pinky and Rex Go to Camp James Howe (著), Melissa Sweet (イラスト)

22.The Invisible Vinnie Jenny Nimmo (著)

23.Nate the Great and the Fishy Prize Marjorie Weinman Sharmat (著)

24.The Zack Files #13 The Misfortune Cookie Dan Greenburg (著)

25.When It Is Night and When It Is Day Jenny Tyers (著)

 コメントがまったくないというのはそっけなさすぎるので、ひとことコメントを書いてみました。

20.3人とも同じものが気に入っちゃう、ってあるよねぇ。
21.はじめてキャンプに行くことになった。行きたくないんだけどなぁ。
22.いじめっこにからかわれそうだなぁ。元気がないわたしにおじさんがあるものを貸してくれた。そのアイテムを使ってみると…。
23.ロザモンド、今回もいい味だしてます。
24.話の締め方に余韻があって好き
25.とぼけた動物たちの表情が最高に笑えます。

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山の湯オフに持っていった本たち

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