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Shield Ring

book by Rosemary Sutcliff

 ノルマン・コンケストの時代の英国、湖水地方を舞台にしたお話です。サクソン人やヴァイキング系の住民とノルマン軍との数十年にわたる戦いを背景に、その時代に生きた少年・少女の成長を描く。

 と、こんなお話なわけですが、実はこれもまた再読で3度めでございます。すごーく好きなお話なんだけど、文章が古風でわかりにくいです。日常生活の部分はわかるんだけど、歴史的背景を説明する部分や戦況を語るシーンはいつも五里霧中。
 いままで、少しでも背景知識を増やすべく、英国の植生に関する本を読んだり、歴史に関する本を読んだりしてきたんだけど、やっぱりなかなかしっくり落ちない。

 ので、今回は邦訳を図書館で借りましてざざっと読んでから、英語版を読みました。邦訳をみて、おお、そういうことだったのかー!と、やっとすっきり(ちょっとくやしいけど)。

 このお話では、戦争とつかのまの平和(和平ではなく休戦みたいな感じかな?)を繰り返している状態。筋としては主人公の成長物語。若者同士の友情や反目、民族の誇り、戦士の誇り、芸術(このお話の中ではハープ)に関することなどを描きつつ、主人公は幼ななじみの少年と少女なので、ロマンスもあり。ただしロマンスについては精神的な部分が多くてことばで愛を語ったり身体的なふれあいは一切ない。いくつかのシーンでは、そういうことを描写することはできそうなのになぁ、と思うんだけど、そこを無言でとおりすぎる。あっぱれなほどに。サトクリフのお話は硬派で武骨だと感じるのはこのゆえんかな。そこが好きでもあるんだけど(笑)。

 Eagle of the Ninth(1世紀のローマ帝国時代の英国を舞台にしたお話。OBW4にRetold版あり)で主人公のマーカスが父からイルカの紋章の指輪を受け継ぐのですが(ほんとはもうちょっと込み入ってるけど)、その指輪が、この、Shield Ring にも登場します。その間、約1000年! 1000年間、脈々と親から子へとひとつの指輪が伝わってる。サトクリフのお話には、たびたびこの指輪を受け継ぐ者が登場します。時代も場所も、ときには民族すら違うんだけど、指輪が受け継がれ、血もつながっていく。それが英国の歴史そのものでもある。

 サトクリフのお話で主人公になるのはいつも歴史に名を残さない人たち。だけど、その人たちのいきざまそのものが国や民族の歴史そのものなんだよなぁ、と、読んでいて、ひしひしと感じる。そこがサトクリフの物語の魅力のひとつだと思う。

 もうちょっと文章がわかりやすければいいのに。こうも読みにくいと、人におすすめもできない(涙)。

 あ、でもね、上橋菜穂子さん好きにはサトクリフはおすすめだと思うんだけどなぁ(と、がんばって宣伝してみる>だれに?笑)

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 こちらは"Shield Ring"の邦訳です。

(こうして原書と邦訳をあらためてくらべてみると、表紙のイメージがぜんぜん違いますね。とても同じ話とは思えない。びっくりだ)


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 英国史ということでわたしがときどき読んでいるのがこちら。チャールズ・ディケンズの"A Child History of England"。

 子ども向けなのでお気軽に読めます。長いので通読にこだわらず、好きな時代を拾い読みしています。(リンク先はAmazonでかなりいいお値段していますが、パブリックドメインなので、文章も朗読も無料版があります。)

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