« The Center of the World | Main | 耳カバー »

Pied Piper

book by Nevil Shute (1942)

 このお話は好きで、おりにふれて読み直したくなります。
 今回で3度めかな。

 英国人の老紳士 Mr.Howard がフランスに滞在中にドイツ軍がフランスに侵攻する。帰国しようとする彼は、滞在先で知り合った夫婦から子ども2人をいっしょに英国へ連れて帰って欲しいと頼まれる。通常であればパリ経由で1日あればロンドンにたどりつけるのだが、鉄道網はドイツ軍に押さえられ、思うように旅はすすまない…。

 というようなお話なのですが、
  1940.4.9.ドイツ軍がデンマークを侵攻、降伏
  1940.6.14.ドイツ軍がパリに無血入城
  1940.9.7.ロンドン大空襲
 という世界史の年号を頭にいれておくと、物語の世界がぐっとわかりやすくなります。

 ちなみにこのお話は、帰国した彼がロンドンで知り合いにフランスでの旅の様子を語っている、という設定。だから読者は、彼が英国に帰国できたことだけはわかって物語を読み始めるんだけど、物語がすすめばすすむほど事態は悪化するから、それをどうやって?と思いながら読むわけです。

 しかも、語っているそのときはどうやら9月らしく、ロンドンは空爆を受けていて、「地下壕に移動しますか?」「いや、爆撃はまだ遠いし、ここでいいでしょう」なんて話をしている。もしかしてこれは9月7日の夜なんじゃないの?と思ったり。

 ところで、この本が出版されたのは1942年。まさに戦時中、リアルタイムに書かれた物語。

 子どもたちには戦禍うずまく地域から安全な場所に移動して、健やかに育ってほしい、という大人たちの願いがまっすぐに伝わってきます。

 今回は地図で地名をたどりながら読んでいました。出発地はここ、ここまでは鉄道で移動して、この町でこんなエピソードがあって、と。ネットの地図はかなり詳しいからちいさな町の名前も探せば見つかる。そういうのも楽しかったです。

 そういえば Mr.Howard の一行が歩いて旅をしているシーンで、ほかにもたくさんの人たちが荷馬車や自転車で西へ逃れている、という描写がありました。Curious George を描いた H.A.Rey さんもパリ陥落の数日前に自転車で脱出したんだったよなぁ、と思い出す。すると一段と物語の世界がリアルに感じられました。

|

« The Center of the World | Main | 耳カバー »

Teens/一般」カテゴリの記事

Comments

この記事、ブログでいただいていいだろうか?

Posted by: さかい@tadoku.org | 2011.02.02 23:59

先生こんにちはー。
記事、どうぞ、お使いくださいませ♪
(文章が気になる部分をちょっと修正しました。)

Posted by: かのん | 2011.02.03 19:56

The comments to this entry are closed.

« The Center of the World | Main | 耳カバー »