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読書107-109

book 107."機関銃要塞"の少年たち ロバート・ウェストール (著), 越智 道雄 (翻訳)

 舞台は第二次世界大戦中の英国。
 14歳の少年たちが主人公。戦争が激しくなり、ドイツ軍の空爆が日常茶飯事になっている。 そんな非日常的な状況が日常化している中での、少年たちの様子を描く。

 半分まで読んでなげました。耐え切れなくなってしまって。 戦争と子どもたち。加害者・被害者というくくりではなく、いやおうなしに日常生活の中に入り込んでくる戦争。
 子どもたちの伸びやかな好奇心、知恵、競争心、そういったものが、戦時中でどうなっていくのか。子どもたちの中では、大人以上に大人同士の抗争の思想や概念が育ってしまう。大人よりも純度が高いのかもしれない。そこがわたしには怖くてたまらない。

 ウェストールの作品はいつも気になって読み始めるのに、耐え切れずに投げてしまうなぁ(実はほかの本もざっと読みになっている)。受けとめて考えたかったのだけど、力及ばず。また次回。

book 108.スカイラー通り19番地 E.L. カニグズバーグ (著), E.L. Konigsburg (原著), 金原 瑞人 (翻訳)  原題:The Outcasts of 19 Schuyler Place (2004)

 12歳の少女の夏休みを描いた物語です。マーガレットのおじさんの家の庭には手作りの塔がある。その塔はおじさんたち移民してきてここに落ち着いてからずっと少しずつ作ってきたもの。塔はおじさんたちの歴史そのもの。マーガレットもこのふしぎな美しい塔が大好き。塔はいま3つあって、4つめを作るスペースも材料もそろってる。けれど、おじさんたちは4つめを作ろうとしない。どうして・・・?

 カニグズバーグって、12歳くらいの少女が自立というか、周囲の状況に迎合せずに自分の意志を貫く、というテーマをくりかえし描いているような気がする。『クローディアの秘密』も『エリコの丘』もこの『スカイラー通り19番地』も。
 テーマは共通なんだけど、ひとつひとつのお話のすじが面白くて、キャラも魅力的で、安易な決着にはもっていかない。ひと癖もふた癖もあるんだけど、でも好きなんだなぁ。

book 109.銀の枝 ローズマリ サトクリフ (著), Rosemary Sutcliff (原著), 猪熊 葉子 (翻訳) 原題:The Silver Branch (1957)

 紀元3世紀ごろの英国が舞台。紀元3世紀というと、ローマ帝国の衰退期にあたります。英国にもまだローマ軍が駐留しているし、実際にローマ帝国が崩壊したのはこの物語より100年以上あと。けれど、かなり荒廃してきている、そんな時期なのだそうです。

 主人公はローマ軍の青年2人。生まれも育ちも英国のフラビウスと、小アジア(いまのトルコ)育ちのジャスティン。ふたりは従兄弟同士。その2人がローマ軍の砦で偶然出会い、皇帝カロウシウスに背反する動きがあることを知ってしまってから、2人の運命の糸車がまわりだす、そんなお話です。

 大好きなサトクリフの『第9軍団のワシ』につづくローマン・ブリテンシリーズ第2巻。といっても『第9軍団のワシ』より100年以上、時代がくだっていますけど。でも、マーカスがお父さんから受け継いだあのイルカの印章のついた指輪はちゃんと英国で受け継がれていました。そして、マーカスが開拓したであろうものもちゃんとね。『第9軍団のワシ』が大好きなわたしとしては、その後の様子がすこしでもわかったことがとてもうれしかった。

 とはいえ、それは話の本筋じゃないんですけどね。

 えーと、単独のお話としてみた場合には。『第9軍団のワシ』よりもスケールが大きくなっている。その一方で、キャラが多すぎて、ひとりひとりの描き方が中途半端でもったいないなぁ、とも思いました。主人公の2人についてはいいんだけど、それ以外の人がね、え? これだけ?? みたいな。

 一方、素敵なのは、その時代のその光景が、目の前に広がってるかのように描写してくれること。そういうシーンがあちこちにあって。幸せ。

 かなり硬派なお話なので、万人向けとは思いませんが、わたしとしてはサトクリフのお話はやっぱり好きだと再認識した1冊でした。

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