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読書77-78

book 77.シュクラーン ぼくの友だち ドリット オルガッド (著), Dorit Orgad (原著), 樋口 範子 (翻訳)

 シュクラーン、って、どこのことばだろう?

 そう思って手に取った本。辛い話だったらやだなぁ。と思ったら、、とてもいいお話でした。明るい話ばかりではないけどね。

 舞台はイスラエル。12歳の少年ガブリエルはユダヤ人。5ヶ月前に家族といっしょにアルゼンチンからイスラエルに移民してきたばかり。ほんとうなら中学生なのだけど、ヘブライ語に慣れていないので、いまは小学6年生のクラスに通っている。近所の子たちはなにかというとガブリエルをあざわらい、馬鹿にしている。友だちもいない。

 そんなある日、ガブリエルは団地の近くの果樹園で、アラブ人の少年ハミッドに出会う。ハミッドは13歳。家族を養うため、学校へは行かずに兄といっしょに働いている。ふつう、ユダヤ人とアラブ人は仲良くしたりしないのだが、イスラエルの事情に疎いガブリエルは親切なハミッドにわけ隔てなく接してくる。そんなガブリエルにはじめはとまどっていたハミッドだが、だんだん2人は仲良くなっていく。。。

 イスラエルのことはニュースなどでしょっちゅう耳にするけれど、こんなふうに児童書でこの国のことを読んだのははじめて。読んでよかった。

 けれど……。この本が執筆されたのは1977年。30年も前。30年もたっているのに、この国ではいまだにユダヤ人とアラブ人との交戦が続いている。ガブリエルとハミッドもとっくに大人になっているだろうにね。

 国情はとても悲しい状態だけど、そこに暮らす人々は未来に希望をもっている。子どもたちに平和な未来を。そう願わない親はいない。すぐには解決できないにしても、ふたりの友情が2つの民族の間の架け橋になってくれたら。。。そんな作者の願いがひしひしと伝わる。

 

book 78.もうひとりの息子 ドリット オルガッド (著), Dorit Orgad (原著), 樋口 範子 (翻訳)

 医学生ハミッドはテルアビブで下宿を探すがアラブ人であるために門前払いの連続。不動産屋の紹介で訪ねた下宿屋はミリアムという老女が営んでいた。だが出会ったとたんにミリアムはハミッドを10年以上前に戦死した息子ハイムと勘違いしてしまう。アラブ人でハミッドだと何度言っても耳をかしてもらえない。息子と間違われたまま、アラブ人のハミッドはユダヤ人老女ミリアムとの奇妙な、しかし、心の通ったあたたかな生活をはじめる。しかしやがて…

 『シュクラーン ぼくの友だち』と同じく、ドリット・オルガッドの作品です。これもすごくよかった。読むのはしんどいけど、すばらしものがたくさんある。

 ひとりひとりは皆とてもやさしいのに。悲しみなんてすべて無くなればいいのに。

 これはさだまさしさんの歌なんだけど、ほんと、そう思う。どうしてこうなっちゃうんだろう。どうしてこんな状態が20年も30年も続いてしまうんだろう。

 ハミッドとミリアム、2人の出会い、そして信頼関係がやがてふたりのまわりの人たちにも影響してゆく。さざなみが広がるように。

 その信頼が、親愛が、もっともっと強く、広く、多くの人たちに広がっていきますように。そう願わずにはいられない。

 この本の著者、ドリット・オルガッドさんの著作は50冊くらいあるらしい。オリジナルはヘブライ語だそうです。邦訳されているのはたった3冊。英訳されてるかと思って調べたけれど、英訳はどうやら1冊しか入手できそうにない。

 この人の作品をもっと読みたいのに。ヘブライ語かあ。。。さすがにチャレンジするには相当ハードルが高いなぁ。くやしいなぁ。どうにかならないかなぁ。

 こういう本に出会ってしまうから、児童書読みはやめられない。

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