怠けてなんかない! ディスレクシア 読む・書く・記憶するのが困難なLDの子どもたち。
ディスレクシアということばを聞くようになったのはいつ頃からだろう。3~4年前から多読にかかわる先生方の集まりに参加するようになりました。その中で、ディスレクシアということばを聞いたのが初めてだったように思います。文字をきれいに書くことができない、アルファベットが読めない、書けない。そんな子どもたちがいる。そのうちに書けるようになりますから心配しなくても、という意見がある一方で、それはディスレクシアではないのか、という意見がでる。
今回、はじめて、断片的な聞き伝えではなく、自主的に本を読んでみよう、と思って選んだのがこの『怠けてなんかない! ディスレクシア 読む・書く・記憶するのが困難なLDの子どもたち。』という本でした。
ページをひらくと最初に
「はじめに次の文章を5秒以内で読んでください。」
とあります。
なんだろう、と思って次のページに目をおとすと、何か書いてあるけど、文字が2重になっていて読めない。読むのにえらく時間がかかり、「こんなん、わからへん」と読むのをすぐにやめちゃいました。
ページをめくると、
「次の文章は5秒以内で読めますか? えっ、まだ、わからないの?」
と。こんどは、1重なんだけど、なんじゃこれ、な文字。ひらがなだけど、ぜんぶ鏡文字になってるみたい。読めるかさ、こんなん。
その次には、文章のかたまりの中心がうずのようになって文字が流れてる。文字がかすれてぼやけてるものや、文字の一部が崩れてるものも紹介され、
「読めますか?」
と。
読めなくはないけど、すごく時間がかかる。めんどくさくなって読むのを放棄しちゃう。
そうか、ディスレクシア(と一言でいってもいろいろあるのだろうけれど)って、こういうことなのか。これは大変だわ。わたしなら読めないって放棄するわ。
そこから一気に読みました。ディスレクシアという障害をもつ子どもたち、おとなたちへのインタビューが6例、載っています。
読みにくさ、書きにくさ、というのは、個人的な感覚なので、その人にとってそれがどれほど困難なのかをほかの人が理解するのはとてもむずかしい。周囲の無理解、「やればできる」と従来方法を押し付けられる、ディスレクシアだと診断がついても(診断をうけるところまでいくのも大変なのだけど)対処方法がわからない。
アメリカでは全児童の10~15%にディスレクシアの症状が見られる、と。ええ? それなら40人学級なら4~5人いても不思議じゃない。アメリカにそんなに多くて日本にいないはずがない。日本の教育現場では、どう対応していたのだろう。
自分の経験則で人を判断しちゃいかんのだなぁ。
課題が山積みなことはわかった。現状を認識できれば、対応も考えられる。わたしの認識、やっとスタートラインだね。
« 四天王寺の鷹 | Main | 柿と大根の甘酢漬け »
「和書」カテゴリの記事
- いま、こんな本を読んでいます(2012.01.18)
- 『カラー版 里山を歩こう』(2011.12.25)
- 『神戸新聞の100日』(2011.11.26)
- 記者ハンドブック 第12版 新聞用字用語集(2011.10.17)
- 行かないようにしてるんだけど…(2011.10.09)
The comments to this entry are closed.
Comments
かのんさん、こんにちは。
> 自分の経験則で人を判断しちゃいかんのだなぁ。
これってすごく大事だと思います。
経験できないことは、分からないのですから。でも少しでも分かろうとする気持ちがまずは大事。
良く言われるのが目に見えるが障がいのある方に
『大変だねぇ、頑張って!』と声をかけられること。これってすごくありがた迷惑なのです。
ご本人たちは「その環境で精一杯生きていて、上から哀れむみたいなことはされたくない…でも『はい!』と笑顔で答えてしまうことにすごく悲しみがある…と。
それが内部的なことになるとさらに精神論にまで(泣)
バリアフリーと言う言葉があるけれど、私個人的には(精神的な意味で)好きではないです。だって初めから「バリア」と言う「壁」が存在するのですから。
すごい矛盾だとおもいません?
Posted by: パッチ | 2008.10.26 11:53
パッチさん、こんにちは。
う~ん。自分とちがう環境や状況にある人に対して、どういうことばをかければ、相手にとって適切に感じられるのかって、むずかしいなぁ、、、と思います。
良かれと思って言ったことばが相手にとっては負担になったり。
逆に、なにげなく言ったことばが相手には予想外に良い言葉になるときもあるだろうし。
伝わってる保障はないのだから、伝わってないとわかったら、謝って、もいちど伝える努力をする。あとは相手との信頼関係を信じる。
ここ数日ね、左手で文字を書く練習をやってるの。遊びでね。
で、気がつくの。
日本語の文字のかたちって基本的に右手で書きやすいようにできてるんだな、って。
右手だとかんたんに引けるまっすぐな線が、左手だとぜんぜん書けない。わたしの甥っこは左利きなんだけど、文字とお箸は右手。彼が文字を右手で書く練習をしはじめたときってこんな不便さを感じていたのかなぁ、って、これも新たな発見。
話は変わるけど、パッチさんは、障がい、という表現を使うのね。
あれ?と思ったんだけど、あらためて考えてみると、この場合「害」という漢字を使うのはたしかにヘン。ひとつ勉強になりました。新たな気づきをありがとう。
Posted by: かのん | 2008.11.01 16:56