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Warrior Scarlet

book サトクリフ・プロジェクト、5冊め、『太陽の戦士』 Warrior Scarlet (1957年)を読みました。1年半ぶりの再読です。

 投げたほうがいいかなぁ、と思いながら、がまんして読んでしまいました(みなさん、真似をなさらないように)。
 以前より理解度はあがったけど、まだまだだなぁ。

 青銅器時代から鉄器時代へ移ろうとする頃の英国を舞台にしたお話です。

 主人公の Drem は戦士になるのが目標。戦士になるための試練を乗り越えれば、晴れて村の戦士の一員になれる。でも、Drem は生まれつき右腕が不自由。片腕だけで、狩りや戦いをしなくてはならない。祖父が母に「この子は戦士にはなれないだろう」と話しているのを Drem は偶然聞いてしまう。その日から Drem の自分との戦いの日々が始まる。

 村には異なる文化をもつ2種類の民族が共存している。
 ひとつの民族は小柄で肌の色が濃くて、大地の女神から生まれ、大地へと帰っていく宗教をもつ人々。こちらのほうが先住民族。
 もうひとつの民族はあとからこの地にやってきた民族で、大柄で肌の色が白く、太陽を神とする人々。Drem はこの民族にあたる。

 この2つの民族の関係が、興味深い。
 ひとつの村で共存してるし、仲が悪いわけではない。必要な場合には協力もし合う。でも価値観は違うし、あえて混じりあう気はない様子。お互い不干渉な感じ。相手の存在を認めてはいるけど、お互い独立というか自立している。

 この地球という星の上にはさ、いろんな民族、いろんな人たちがいて、みな、宇宙船地球号の乗組員なわけ。必要以上に対立したり無駄な争いはしたくないけど、でも、だからといって、必要以上に同化する必要もないんだよなぁ。お互い、自分たちの文化を保ちつつ共存できたら、幸せだと思う。

 サトクリフの歴史物語には、常に複数の民族が登場する。対立してる場合もあれば、融合してる場合もある。違う民族、違う文化が、ミルフィーユのように何層にも折り重なって今に至る。それらの多階層な状態、ぜんぶひっくるめて、英国という国。サトクリフの物語は、ひとつひとつの歴史物語を語りながら、今の英国の姿を描いている気がする。

 前回の"The Shield Ring"のときにも感じたけど、サトクリフの描くキャラたちって、寡黙な人が多い。余計なことを言わない。
 サトクリフは、あ・うんで通じ合う人間関係を好しとしているような気がする。人間同士でも、人間と犬でも。

 物語の主人公だから、重たい荷物を持ってるのね。いっぱい・いっぱいのときには、ことばに出せない場合もある。口を閉ざすことで、自分を護ってる。

 いつか、この主人公たちが、笑って「こんなこともあったんだよね」って軽く言える日がくるといいなぁ。話を聞いてくれる無二の親友や大切な人はちゃんといるから。

 出版順に読むサトクリフ・プロジェクト、次は 『銀の枝』 The Silver Branch (1957年)。1ページめを読んでみたけど、まだちょっと熟成が足りない感じ。しばらくプロジェクトはお休みかな。世の中、ちょうど夏休みだし。

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